楽員紹介 - 都響について
第2ヴァイオリン 副首席奏者
山本翔平 (やまもとしょうへい) Shohei YAMAMOTO
(2007年1月1日入団)
桐朋学園大学卒業。同大学研究科修了。上西玲子、米田理香子、江藤俊哉、江藤アンジェラ、藤原浜雄、荒井英治の各氏に師事。第3回江藤俊哉ヴァイオリンコンクールJr.アーティスト部門第3位入賞。アフィニス夏の音楽祭、小澤征爾コンサートキャラバン、東京のオペラの森など室内楽も含め幅広く活動。2007年より都響に入団。同年5月より第2ヴァイオリン副首席奏者。
私の音楽はじめて物語
子供のための音楽教室でヴァイオリンを師事したのは上西(かみにし)玲子先生。優しく導いていただいたのですが、先生が教える時間を取れなくなり、小2ころに米田理香子先生に替わりました。米田先生には高校受験までとても親身に教えていただきました。教室では小4から弦楽合奏があり、楽しく弾いていた記憶があります。
地元の公立中学に進んだ時点で、親には「高校は桐朋を受験するからね」と言われ、周囲もそういう空気。そのころはあまり悩むこともなく、特に受験態勢に突入ということもなく、子どものころからのレッスンと練習をやり続け、コンクールも受けるという中学時代でした。
桐朋高校に無事合格。高校・大学では江藤俊哉先生と奥様のアンジェラ先生に師事しました。ただ当時、俊哉先生は体調を崩されていて。レッスンはアンジェラ先生が多く、音程に厳しい方で、左手の肘の使い方などを指導され、すごく勉強になりました。
高校からオーケストラの授業が本格的に始まり、はじめは弦楽合奏でドヴォルザークとチャイコフスキーの弦楽セレナーデ、高3で初めて管弦楽になりドヴォルザークの交響曲第8番を演奏。管楽器と打楽器が入るとこんなに音が変わるのか、とびっくりして、とにかく楽しかったですね。
大学に進んだころ、自分は本当に音楽をやりたいのか、悩んだ時期があります。これまでレールに乗ってやってきたけれど、と。そもそも音楽をどう感じて、どんな理由でそう弾くのか、言語化できないのも苦しくて。そんな時期に、荒井英治先生(東京フィルのソロ・コンマス)のレッスンを受ける機会があり、テクニックやフレージングに関しても全て言葉にして教えていただけた。今でも自分の考え方の基礎になっています。
研究科1年の夏、小澤征爾さん&ロストロポーヴィチさんと地方を巡る「コンサート・キャラバン」に参加しました。お二人とも一音一音に対して厳しく、真剣。初めて“生きている音楽”に出会った気がした強烈な体験で、音楽をやってきて良かった、と改めて思いました。
その年の秋から都響へエキストラに呼んでいただけるようになり、年末のジャン・フルネさんラスト・コンサートにも参加。すごく緊張しましたが、会場が独特の雰囲気で、そんな中で弾けたのは幸せでした。翌年、矢部達哉さん(都響ソロ・コンマス)のご紹介で推薦オーディションを受け、2007年に入団。実は学生時代にベートーヴェンの交響曲をほとんど弾いたことがなく、最初は知らないことばかりで大変でした。都響には本当に優れたプレイヤーの方が多いですし、まだまだ勉強の日々ですね。
(『月刊都響』2014年4月号 取材・文/友部衆樹)