楽員紹介 - 都響について
ホルン
和田博史 (わだひろふみ) Hirofumi WADA
(1996年4月1日入団)
熊本県出身。1989年東京藝術大学卒業。ホルンを守山光三、千葉馨の各氏に師事。卒業時に藝大同声会演奏会、およびヤマハ金管新人演奏会に出演。卒業と同時に東京フィルへ入団。96年、都響へ移籍。現在、都響の他に紀尾井シンフォニエッタ東京、ゼフィルス クインテット トウキョウ(木管五重奏団)、東京ホルンクラブ、つの笛集団、アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンなどのメンバーを務め、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、木曽音楽祭などにも度々参加している。
私の音楽はじめて物語
中学校へ進み、特に部活動をする気はなかったのですが、2つ上で打楽器をやっていた姉に何度も誘われ、吹奏楽部へ。トランペットは人数が一杯で、トロンボーンは同級生より手が短かったので、希望者がいなかったホルンになりました。恥ずかしながら、その時までホルンの事は知りませんでした。
同時期に《巨人》のレコードを聴いたところ、吹奏楽よりホルンが大活躍している。こういう仕事があるんだ、オーケストラの団員になりたい、と思いました。
地元の普通高校へ進学、やはり吹奏楽部へ入部。受験は東京藝大を考えましたが、厳しい道ですから両親は反対。教員免許も必ず取るという約束で応援してくれました。
高2から音大受験準備でピアノやソルフェージュのレッスンにも通い始めたため、部活動を休みがちになり、やむなく吹奏楽部は高2の1学期までで辞め、土曜日だけ熊本ユースシンフォニーオーケストラへ通いました。オーケストラ体験はこれが初めてで、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲や《水上の音楽》などの演奏が思い出に残っています。楽しかったですね。
東京藝大へ進み、守山光三先生と千葉馨先生に師事。ホルンは感覚で吹いてる部分が多く、演奏のコツを言葉で説明することが非常に難しいのですが、守山先生はそれを理論的に教えられる日本で初めての方だと思います。口のまわりの筋肉やお腹の使い方など細かく指導を受けました。千葉先生は言葉は抽象的ですが、ご自身の体験から音楽家の心構えを教えていただけた。タイプが異なる先生に師事できたのは良かったと思います。
大学3年ころから在京オケなどへエキストラに行くようになり、大学4年の3月(1989年)に東京フィルのオーディションを受け、卒業と同時に入団しました。オペラやバレエをたくさん経験できましたし、今度都響の音楽監督になられる大野和士さんの指揮でも沢山演奏しました。
この二人の先生や在京オーケストラのホルン奏者で構成されているホルン・アンサンブル、東京ホルンクラブにも参加していたので、有馬純晴さん(都響首席ホルン奏者)とお付き合いがあり、1992年ころから都響へも度々エキストラに来ていました。その後オーディションを受ける機会があり、1996年に都響へ移籍。ヴァイオリンの響きがとても艶やかで、オケ全体が美しく柔らかい音色をもっていることにまず驚いて、それは今でも続いていると思います。
都響のホルン・セクションは日本で唯一、楽器をアレキサンダー製で統一していて、音のまとまりが良い。そういう伝統を守りつつ、良い演奏を1日でも長く続けたいなと思っています。
(『月刊都響』2014年6月号 取材・文/友部衆樹)