高橋純子

チェロ

高橋純子 (たかはしじゅんこ) Junko TAKAHASHI

(2002年6月1日入団)

 大阪府生まれ。3歳でピアノ、6歳でチェロを始め、相愛音楽大学子供の音楽教室入室。
 桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。奨学金を得てSouthern Methodist University アーティストディプロマ修了。東京室内楽コンクール入賞。蓼科音楽祭奨励賞受賞。
 チェロを徳永兼一郎、藤森亮一、山崎伸子、岩崎洸、各氏に師事。
 桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室講師。

私の音楽はじめて物語

発表会で(小6)
発表会で(小6)
 最初に出会った楽器はピアノです。3歳から近所の教室に通い始め、楽しく弾いていた感じですね。大阪は相愛音楽教室が盛んで、私も6歳で入室しました。その時、母が東儀祐二先生に相談したところ、「真剣にやるなら、ピアノやヴァイオリンではもう遅い。チェロなら可能性があるし、小さい子がやるのは貴重だから、やってみては」と勧められ、私も「やります」と言ったらしいです。記憶にないんですが……。
 それで始めたものの、練習が嫌いで。私は身体を動かすのが大好きな子どもでしたから、じっと座って弾くのは苦手でした。はじめに師事した藤田淑子先生がとても優しい方だったのが救いでしたね。それと、弦楽合奏の授業だけは楽しくて、合奏があったから続けられたのかな、という気がします。
 小5から斎藤建寛(たつお)先生に替わり、中3までお世話になりました。
 小6最後の春休みに、相愛の弦楽合奏団が大阪の親善大使としてヨーロッパへ行く機会があり、ソ連やフランス、イタリアなどを巡りました。本当に良い経験ができ、チェロをやってきて良かったなと思いました。
 相愛音楽教室から桐朋へ進む子は多かったですし、母の勧めもあって桐朋女子高校への受験を決め、中2から東京へレッスンに通いました。無事、桐朋へ入学できたのですが、周囲は学生コンクール全国大会1位、みたいな生徒ばかりでびっくり。ただ、徳永兼一郎先生が「桐朋は高校・大学と7年間あるから、卒業する時が勝負なんだよ」「周囲に惑わされず、1年に1センチでも確実に成長していくように」と言ってくださって。焦らず、でも練習するしかないな、と考えられたのはありがたかったと思います。
 高3の時、エヴィアン音楽祭(フランス)に桐朋学園オーケストラが招待され、そのメンバーを選抜するために高校・大学・研究科を含めた学生の一斉オーディションがありました。この時は人生初と言っていいくらい、ものすごく練習したのを憶えています。何とか合格でき、私も頑張れば可能性があるかもしれない、やっぱりプロになりたいな、と意識した転機になりました。現地ではロストロポーヴィチやゴールウェイと共演したり、小澤征爾さんの指揮でチャイコフスキー《弦楽セレナーデ》を演奏したり、素晴らしい体験ができました。
 大学および研究科を修了後、3~4年はフリーで活動。沖縄の音楽祭で岩崎洸先生に出会ったことがきっかけで、先生が教えていらしたサザン・メソジスト大学(アメリカ)に2年間留学しました。それまでは「こう弾かなくては」というこだわりが強かったんですが、留学を通して、もっと自由に弾いていいんだ、と解放された気がします。
 帰国後、1年ほどで都響のオーディションがあり、入団は2002年です。
 都響は互いに「聴き合う」意識が高くて、例えばメロディの人が歌い方を100分の1秒変えると、一瞬でオケ全員が反応できる。その中で弾けることが幸せですし、今後も一員として役割を果たしていきたいな、と思います。

(『月刊都響』2013年10月号 取材・文/友部衆樹)

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