楽員紹介 - 都響について
第1ヴァイオリン
塩田 脩 (しおだしゅう) Shu SHIODA
(2014年1月1日入団)
私の音楽はじめて物語
プレ・カレッジは毎週土曜日に教室があって、4~5歳から18歳まで入れます。そこでオーケストラや室内楽、個人レッスン、ソルフェージュから音楽理論までいろいろ勉強できました。6歳からそのオーケストラで弾き始め、楽しかったですね。
8歳でニューヨークへ引越し、ジュリアード音楽院プレ・カレッジに移って、18歳まで通いました。シャーリー・ギヴンズ先生に師事、14歳で田中直子先生に替わり、大学はボストンへ戻ってニューイングランド音楽院へ進み、潮田益子先生にお世話になりました。
思い出に残っているのは、7歳から毎年参加したオーケストラ・キャンプです。全米から子どもたちが集まり、田舎の森のキャビンで寝泊まりしながら、オーケストラの練習をやる、というもの。中でも12歳の時にバーモント州の山奥のキャンプで演奏した《巨人》が忘れられません。指揮の先生が「冒頭のヴァイオリンは霧で、遠くからクラリネットの狩の音が聴こえてくる。すると、少しずつ木々の緑が見えてきて……」とイメージを説明してくれて、実際に弾き始めたら、本当に自分の中に映像が浮かんできて、鳥肌がたつほど感動しました。オーケストラが楽しくなった原体験だったと思います。
17歳の時、田中直子先生の紹介で若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」に参加しました。そこから縁がつながって、2006年から小澤征爾音楽塾や東京のオペラの森などで弾かせていただくようになって。前者では第2ヴァイオリン首席やコンサートマスターをやらせていただきました。
その経験から、日本のスタイルは素晴らしいなと思いました。音楽院を卒業後、ニューヨークでフリーランスとして活動、セントルークス管などでも弾いて楽しかったのですが、日本では基礎や理論をきちんと踏まえて、その先にある「楽しさ」を追求する。とても勉強になりました。毎年、春は東京のオペラの森、夏は小澤征爾音楽塾に参加、自分の立ち位置を確認して、アメリカに帰ると基礎をやり直す。その数年間は日本に「留学」していた感じです。
日本で仕事をいただくようになり、何よりサイトウ・キネンで出会った矢部達哉さんや豊嶋泰嗣さん、川本嘉子さんなどの方々の近くで弾く機会を増やしたくて、日本へ拠点を移しました。2009年です。
京響第2ヴァイオリン首席や、兵庫芸術文化センター管コンサートマスターなどをゲストでやらせていただき、2011年から都響へエキストラで参加するようになり、2013年にオーディションを受け、入団は翌年1月です。
入って数ヶ月ですので、まだ抱負を言える状態ではありません(笑)。若い世代が入って都響は進化した、と言ってもらえるよう、今はとにかく頑張るしかないなと思っています。
(『月刊都響』2014年10月号 取材・文/友部衆樹)