新田 僚

第2ヴァイオリン

新田 僚 (にったつかさ) Tsukasa NITTA

(2017年6月1日入団)

私の音楽はじめて物語

ヴァイオリンの発表会で(5歳ころ)
ヴァイオリンの発表会で(5歳ころ)
 幼いころに行ったディズニーランドのアトラクションで、当時お気に入りだったミニーマウスがヴァイオリンを弾いているのを見て「あれをやりたい」と言ったらしい。記憶には残ってないのですが、親が撮った映像があるのでそれが動かぬ証拠です(笑)。3歳の時にスズキ・メソードでヴァイオリンを始め、富川和子先生に師事しました。曲を弾いて次のステップへ進むのが楽しかったですね。富川先生が指導している千葉ジュニア・ストリングスという弦楽アンサンブルに入り、合宿に何回も参加しましたが、合奏よりも友だちと遊ぶのが嬉しかった思い出があります。
 小6で教本を終え、富川先生の恩師でもある小林武史先生に直接指導していただくことに。レッスンが一気に本格的になり、楽器の持ち方やボウイングなど全て基礎からやり直したので大変でした。中学では吹奏楽部へ入ってアルトサックスを吹いたのですが、体育会系のノリについていけず中1の途中で退部。以降は個人でヴァイオリンのレッスンを続けていましたが、高校ではオーケストラをやりたい、と思いました。近所に幕張総合高校というオーケストラ部が有名な学校があったので、そこへ楽器推薦で入学しました。
 高校は大規模校で、オーケストラ部の部員は230人。最初に弾いたのは《悲愴》で、大人数で音楽をやる魅力に初めて開眼。高2からコンサートマスターをやらせていただき、高3では200人近い大編成で《巨人》を弾いたりして、本当に楽しかったです。
 高2の夏にN響の《ローマの松》を聴く機会があり、プロ・オーケストラのすごさに衝撃を受けました。それで、やはり音大へ行きたい、と。桐朋への憧れがありましたので、桐朋学園大学音楽学部附属 子供のための音楽教室 西千葉教室へ「いきなりですみません」と電話して入室。それが佐藤明美先生との出会いです。メソードが異なるので弾き方をイチからやり直しましたし、それからピアノもソルフェージュも始めたので大変でした。
 無事、桐朋へ合格して辰巳明子先生に師事。ですが、同級生がとても上手な人ばかりで高校生の時とのギャップを感じ、かなり落ち込んでいた時期があります。とはいえ練習するしかなく、桐朋は朝5時から練習室を使えますので、5時から8時まで練習、それから授業に出るという生活がしばらく続きました。
 卒業後は桐朋オーケストラ・アカデミーへ進み、ジヘイ・リー(バイエルン放送響第2ヴァイオリン首席)、シュテファン・ローズ(クリーヴランド管第2ヴァイオリン首席)、崔文洙(新日本フィル・ソロ・コンサートマスター)の各先生の隣で本番を弾く機会があり、エネルギーの大きさと表現するパッションの強烈さに圧倒されました。1年半ほど、新日本フィルで常連エキストラのような形で弾かせていただいたのもとても勉強になりました。
 2016年11月に都響のオーディションを受け、幸いにも合格。メンバーの情熱の沸点が高く、ステージから湧き上がる響きに圧倒される日々です。2018年4月に第1から第2ヴァイオリンへ異動して、芯のある音で深く濃い内声をどう出していけるか、探究している真っ最中。これからも理想の音を求めて頑張っていきたいと思います。

(『月刊都響』2018年6月号 取材・文/友部衆樹)

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