楽員紹介 - 都響について
トランペット
中山隆崇 (なかやまたかし) Takashi NAKAYAMA
(1994年4月1日入団)
神奈川県茅ヶ崎市出身。武蔵野音楽大学卒業。シエナウインドオーケストラ、東京交響楽団を経て東京都交響楽団へ入団。1998年度アフィニス音楽文化振興財団の奨学金によりミュンヘンへ留学。ミュンヘンフィルハーモニーオーケストラ首席奏者ギド・セガース氏に師事。これまでにトランペットを久保義一、故中山冨士雄、渡仲郁夫の各氏に師事。防府音楽祭、宮崎国際音楽祭、霧島国際音楽祭等に参加、オーケストラ活動だけではなく、ソロ、室内楽等でも活躍している。現在、東京都交響楽団団員。東京メトロポリタン・ブラスクィンテット、ザ・トランペットコンサート、Mostly Trumpet 「THE MOST」、トウキョウブラスシンフォニー他メンバー。洗足学園音楽大学非常勤講師。
私の音楽はじめて物語
小4の3学期に富山の小学校へ転校し、小5へ進級した時にその学校で鼓笛隊(金管バンド)ができて、金管楽器に初めて触れました。まずトロンボーンを吹いたのですが、私は背が低かったので「君はトランペットの方がいいね」ということに。ここで別の楽器をやっていたら、人生が変わっていたかもしれません(笑)。校内の行事で演奏したくらいでしたが、楽しかったですね。
中1で神奈川へ戻り、地元の公立中学に入って吹奏楽部へ。新入生の男子は私を含めて4人いて、全員がトランペット志望。でも1人しかパートに入れない。ある日、先輩に「今日、楽器を決めるから」と言われ、どうするのかなと思ったら、あみだくじを書き始めた。それで4人で名前を書いたところ、私がトランペットに当たりました。もう運命です(笑)。
普通高校へ進み、やはり吹奏楽部へ。あまり厳しくはなく、わりと自由に活動できたのは良かったですね。自主的に朝練をやったり、練習が苦にならなかったですし、わりと上手に吹けている気もして、これは面白い、ヴァイオリンより自分に向いている、と思うようになって。音大へ行くことを考え、高2から渡仲(となか)郁夫先生にレッスンを受け始めました。
ただ最終的には、音楽でやっていけるのか、と親に説得され、理数系の大学を受験。合格できず浪人生活に入りました。そして、やはり音大へ行きたい、と再び親に相談、最後はケンカになりましたが、何とか認めてもらって準備に入りました。ピアノもソルフェージュも19歳から始めたので大変でした。
武蔵野音大へ進み、久保義一先生に師事。学生時代は、五重奏から10人以上の大きな編成まで、金管アンサンブルをよくやっていました。大学2年で上級生のオーケストラをスタッフとしてお手伝いした時、初めて《カルミナ・ブラーナ》を聴いて衝撃を受けました。こんなに格好良い曲があるのか、と。オーケストラをやりたい、と改めて思ったきっかけだった気がします。
卒業後、シエナ・ウインド・オーケストラの発足に参加。仕事は楽しかったのですが、時間の拘束が厳しくて1年ほどで辞め、東京交響楽団へ入り3年ほど活動。この時期にオケでの吹き方をイチから学ぶことができたのは本当にありがたかったと感謝しています。
都響への移籍は1994年。ペーター・マークさん、フルネさん、ベルティーニさん、インバルさんといったマエストロの印象が強烈で、一緒に音楽をやれた体験は大きいですね。これからもとにかく「良い音」で、1日でも長く吹き続けたいと思います。
(『月刊都響』2014年11月号 取材・文/友部衆樹)