楽員紹介 - 都響について
トランペット
内藤知裕 (ないとうともひろ) Tomohiro NAITO
(1994年4月1日入団)
私の音楽はじめて物語
小学校に吹奏楽部があって、普通は4年生からなんですが、なぜか3年生の秋に入部してトランペットを始めました。身体が小さかったので、最初はコルネット。結構重いな、という印象でしたが、吹くのは楽しかったですね。顧問の先生が熱心で、《マイスタージンガー》前奏曲や《エグモント》序曲などをやらせることもありました。このころからオーケストラが好きになったのかもしれません。
中学校でも吹奏楽部に入り、ここは「めざせ全国大会」とコンクールに熱心だったので、濃い3年間を過ごしました。先輩の影響で熱中したのは室内楽。フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルやエンパイア・ブラス、あるいはアンドレやドクシツェルのレコードをたくさん聴いて、自分たちでもアンサンブルをやったり。マーラー《交響曲第5番》冒頭とか、《ペトルーシュカ》のソロとか、みんなで吹いてみて「やっぱり難しいねえ」とか。部活動で《惑星》(「海王星」以外)や《新世界より》《展覧会の絵》を吹奏楽アレンジで全曲演奏したりして、今思うととんでもないことをやってましたね。そういう曲の原曲をレコードで聴いて、オーケストラって面白い、オーケストラ・プレイヤーになりたい、と思ったのは12~3歳ころです。
高校は地元の県立で、音楽コースがある学校に在籍。吹奏楽部もありましたが、気持ちがオーケストラに向いていたので、20人くらいの小さなオーケストラ部に入りました。高校1年から杉木峯夫先生(東京藝大助教授)にレッスンを受け始めた。
藝大へは入れたんですが、入学してみたら、まわりが上手な人ばかりでびっくり。かなり危機感があって、大学時代はすごく練習したと思います。大学3年の時に都響のオーディションがあって、受かるわけがない、と緊張しなかったのが幸いしたのか、受かってしまった(笑)。(試用期間を含めると)大学3年の1月から都響で吹き始めました。オーケストラの現場を何も知らなかったですから、入ってから3年くらいはもう夢中でしたね。
その後、2002年にシカゴに留学して、ウィリアム・スカーレット先生(シカゴ響)に師事。楽器とか技術とかを越えて、いかにアーティストとしてパフォーマンスするか、ということを目の当たりにした気がします。
都響は、メンバー同士にリスペクト(尊敬)があって、互いに向上していく雰囲気がある。その中で、より良いトランペット・セクションをこれからも作っていきたいですね。
(『月刊都響』2012年7・8月号 取材・文/友部衆樹)