楽員紹介 - 都響について
ヴィオラ 副首席奏者
村田恵子 (むらたけいこ) Keiko MURATA
(2010年3月1日入団)
東京藝術大学卒業。同大学院音楽研究科修了。ヴァイオリンを竹内民男、近藤緑、若林暢、ヴィオラを大野かおる、川崎和憲の各氏に師事。第7回別府アルゲリッチ音楽祭にて、ユーリ・バシュメットの公開マスタークラスを受講。「JTが育てるアンサンブルシリーズ」に出演。五嶋みどり主催「第2回インターナショナル・コミュニティー・エンゲージメント・プログラム2007」に参加。2010年より都響ヴィオラ奏者。
私の音楽はじめて物語
小2〜小6まで竹内民男先生に見ていただき、小6から近藤緑先生(大阪フィル)に師事。大阪フィルを聴きに行くようになって、オーケストラって格好いいな、と思い始めたのはこのころです。中1の終わりころ「音楽の道へ進みたい」と近藤先生に相談したところ、若林暢先生を紹介いただいて、中2から若林先生に師事。同時に東京藝大附属高校を目指すことに。
ヴィオラに転向したのは藝高に入った時ですが、いろいろ伏線(?)がありました。小さなころから、どんな曲を聴いてもなぜかメロディより対旋律や内声、バス・ラインに耳が行くんです。合唱曲でもアルトやテノールのパートばかり覚えて歌っていました。ヴィオラという楽器の存在を知った時(6〜7歳ころ)は、「いつヴィオラを弾いてもいいように、ハ音記号を読む練習をしよう」とか言っていたらしいです。自分では憶えていなくて、不思議なんですが。大塚先生はふだんヴィオラを弾いている方でしたし、近藤先生もオケでは第2ヴァイオリン奏者。内声には縁がありましたね。
藝高はヴァイオリン科とヴィオラ科を両方受けたんですが、結局ヴィオラ科に入りました。楽器が大きくなって感覚が変わり、改めてハ音記号を読む練習も必要で、最初は大変でした。でもオーケストラや室内楽の授業で、内声を弾けるのが本当に嬉しくて仕方なかったですね。高校・大学では大野かおる先生に師事、演奏現場での音楽の運び方やヴィオラの存在感の出し方などを学びました。
東京藝大に進んで、学内には大編成オケと室内オケがあったんですが、私が入ったのは後者。ゲルハルト・ボッセ先生の指揮で10日間ほどヨーロッパ公演(ドイツ、オーストリア)へ行ったのが思い出に残っています。ご高齢でも、指揮台に立つと誰よりもお元気で、皆のやる気を引き出していく。その存在感に驚きました。大学から大学院にかけてはカルテットにも熱中。大学院では川崎和憲先生(元N響首席ヴィオラ奏者)にオーケストラ・スタディを見ていただいて、これがオケをやる上での準備になりました。
大学院2年の秋に都響のオーディションを受け、入団は翌年3月です。入ってすぐの公演が、いきなりインバルさんのマーラー3番(!)。無我夢中で必死でしたけれど、終楽章では弾きながらとても感動しました。
まだ入団3年目ですし、オーケストラで弾くことにようやく身体のリズムが慣れてきたかな、という感じです。今後もオーケストラの、そして内声の魅力をアピールしていきたいですね。
(『月刊都響』2012年11月号 取材・文/友部衆樹)