三原久遠

第2ヴァイオリン 副首席奏者

三原久遠 (みはらひさを) Hisao MIHARA

(2014年1月1日入団)

私の音楽はじめて物語

自宅で(6歳)
自宅で(6歳)
 両親が音楽好きでしたので、4歳からヴァイオリンを始めました。最初に師事した青木晶央(あきお)先生は優しい方で、自分はあまり練習しない生徒でしたけれど、趣味として楽しく弾いていた感じです。
 小5の時、チョン・ミュンフン指揮フランス国立管で《シェヘラザード》を聴いて、ものすごい衝撃を受けました。40分の曲を2分くらいに感じて、本当に雷に打たれたようにクラシックが大好きになりました。サントリーホールの1階最前列で、第1ヴァイオリン・セクションを見上げていた角度まで鮮明に覚えています。
 小4から見ていただいた茂木佳子先生には、演奏家としての心構えなど将来に向けての基礎を教えていただきました。先ほどの《シェヘラザード》体験でヴァイオリンを徐々に練習するようになり、先生に「この子は本気になったな」と伝わったのか、中1で藤原浜雄先生(読響首席ソロ・コンマス/当時)を紹介いただき、レッスンを受けることに。そこから音楽高校へ向けてのギアが入りました。
 高校は何とか桐朋に合格。桐朋は大学院に富山室内楽講座があり、それには高校生も大学生も参加できたんです。高校に入ってすぐ、2つ上の先輩に声をかけられてカルテットに参加、試験に合格して、生まれて初めてカルテットのレッスンを受けたのが東京クヮルテットと原田幸一郎先生でした。先生方が演奏する機会もあって、東京クヮルテットでハイドン《騎士》第4楽章を聴いたのが人生第2の衝撃。もうのめり込んでしまって、高校3年間はカルテットに捧げた気がします。
 私の3つ上の先輩方がウェールズ弦楽四重奏団(2008年ミュンヘン国際コンクール第3位)を結成していて、メンバー交代のため自分が加入したのが大学2年の時(2009年)。カルテットとして留学する予定でしたから、大学2年までで桐朋を中退。メンバー4人でバーゼル音楽院へ留学しました。
 ライナー・シュミット先生(ハーゲン・クァルテット)に師事、ハイドンからウェーベルンまで、作曲家の語法を徹底的に学びました。留学していた2年半、週6日毎日5時間はカルテットのリハーサルをやっていました。強烈ですがすごく有意義でしたね。
 2012年9月に帰国、もちろんカルテットとして活動を始めましたが、原田幸一郎先生が都響のオーディションに推薦してくださって。オーディションの前に初めてエキストラで弾かせていただいたのですが、それがインバルさんとのブラームス・ツィクルス。リハーサル初日が人生第3の衝撃でした。きめ細かいアンサンブルとエネルギーの大きさに度肝を抜かれましたね。
 入団は2014年1月です。カルテットとの両立は大変ですが、世界的な団体であるベルチャ弦楽四重奏団もメンバーのうち2人はバーゼル響と兼任しています。演奏家が「カルテット専業」「オケ専業」でなければならないのではなく、双方の活動を通して相乗効果が産まれると信じています。まだまだオケで吸収することが多い日々ですが、一生懸命に、常にフレキシブルに臨んでいきたいですね。

(『月刊都響』2014年9月号 取材・文/友部衆樹)

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