楽員紹介 - 都響について
ヴィオラ
小島綾子 (こじまあやこ) Ayako KOJIMA
(2000年11月1日入団)
東京芸術大学卒業後、ドイツ・デトモルト音楽大学にて今井信子氏に師事。米国タングルウッド音楽祭や英国コンウォール音楽祭に招待される。カザルスホール共催のリサイタルやNHK‐FM名曲リサイタルなどに出演。1995年、最高位のドイツ国家演奏家資格を取得し、オランダ・アーンヘム交響楽団の副首席奏者、2000年より東京都交響楽団団員。
私の音楽はじめて物語
大学4年の時、シオン(スイス)で受けた今井信子先生のレッスンが衝撃的で。目の前で弾いてくださった演奏があまりに素晴らしく、その場で師事したいとお伝えして、大学卒業と同時に今井先生が教えているデトモルト音大(ドイツ)へ留学。この時、まさにヴィオラは生涯の友! と心に決めました。デトモルトでは卒業試験後、ドイツ国家演奏家資格科に進学。1990年にはカザルスホールでリサイタルのほか、NHK-FM『午後のリサイタル』に出演させていただきました。
夏休みにはドイツ政府から奨学金をいただいて、毎年アメリカやヨーロッパ各地での音楽祭やコンクールにもっぱら時間を費やし楽しんでいましたね。中でもボストン郊外のタングルウッド音楽祭は貴重でした。当時ソロに精力的だった私にとって、初めてのベルリオーズ《幻想交響曲》を小澤征爾さんの指揮で演奏できたり、何よりも印象深いのはバーンスタインとコープランドの交響曲第3番を演奏できたこと!
音楽祭の後、バーンスタインとのヨーロッパ・ツアーが企画されていたのですが、彼に突然ドクターストップがかかり、ツアーは中止になってしまいました。肩を落としていた私たちに、小澤征爾さんが「来週のボストン響の演奏会にエキストラとして出演してください」とご配慮をいただきました。少ししてバーンスタインは亡くなり、タングルウッドでの私たちのコープランドが彼の最後の舞台となったことをお聞きして、言葉に詰まる思いだったことは忘れられません。
フロリダのサラソタ音楽祭ではロバート・ヴァーノン(クリーヴランド管首席)のオーディションに合格できたのは嬉しかったですね。彼が弾いた《ドン・キホーテ》のサンチョ・パンサ(ヴィオラ・ソロ)の大ファンでしたから。
ドイツではNDR響(北ドイツ放送響)で契約エキストラとして働いていました。ドイツのオケの重厚な響きの中で毎日弾けた感動は大切な宝物です。1995年にドイツ国家演奏家資格を取得、直後にアーネム・フィルの第2首席(首席もトップサイドも弾くポジション)のオーディションに合格し、オランダに移りました。
当時、アーネム・フィルの音楽監督はロベルト・ベンツィ。天才少年として10歳で指揮デビューした方です。作曲家の細かな感情を、オーケストラからどの角度で見ても、腕の小さな動きによりあますことなく表現できる指揮者で、とても尊敬していました。
2000年に帰国し、すぐの11月に都響へ入団しました。日常が繁忙を極める現代社会、貴重な時間を作って来場されるお客様一人ひとりに喜んでいただき、そして元気になっていただけるよう、音を通して発信していきたいと思います。
(『月刊都響』2015年1・2月号 取材・文/友部衆樹)