岸上 穣

ホルン

岸上 穣 (きしがみじょう) Jo KISHIGAMI

(2009年10月25日入団)

 12歳よりホルンを始め、京都市立音楽高校(現:京都市立京都堀川音楽高校)を経て、東京藝術大学を安宅賞、アカンサス音楽賞を受賞し卒業。フランクフルト音楽・舞台芸術大学を首席で卒業。
 第74回日本音楽コンクール入選。第80回同コンクール第2位。第23回日本管打楽器コンクールホルン部門第1位。
 これまでに東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、藝大フィルハーモニア、Les Siècles、東京都交響楽団、愛知室内オーケストラと共演。小澤征爾音楽塾VII・VIII、東京のオペラの森に参加。ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭2007・2008にソリストとして参加。2010年アフィニス夏の音楽祭に参加。2012年サイトウキネンフェスティバルに参加。2013年プラハの春国際音楽祭に参加。2014年第46回国際ホルンシンポジウム(イギリス)、光 州国際音楽祭(韓国)に参加。京都芸術祭毎日新聞社賞受賞。讀賣新人演奏会に出演。
 連続テレビ小説「純情きらり」を始め、様々なCM・ドラマ・映画などの録音に参加。
 ホルンを冨成裕一、小山亮、森 陽子、守山 光三、西條 貴人、Esa Tapaniの各氏に師事。
 デトモルト国立歌劇場の研修生、ヴィースバーデン・ヘッセン州立歌劇場契約団員を経て、現在、東京都交響楽団団員。Travel Brass Quintet、Brass Ensemble ZERO、つの笛集団、東京シンフォニエッタ、各メンバー。

私の音楽はじめて物語

幼稚園のクリスマス会(右から2人め/3歳)
幼稚園のクリスマス会(右から2人め/3歳)
 生まれは浜松ですが、4歳で東京へ引越し、そのころピアノを始めました。音大声楽科出身の母から手ほどきを受け、5歳からヤマハ音楽教室へ。歌ったりリズム遊びをしたり、ソルフェージュもそこで学べたと思います。
 叔父が読響のフルート奏者でしたので、オケはよく聴きに行ったのですが、実はほとんど記憶がありません。ヤマハは、ジュニア科専門コースという作曲もするクラスまで進みましたが、小4の時、当時同じコースで好きだった女の子がやめたのをきっかけに自分もやめてしまいました。以後、小6までは学校のクラブで卓球ばかりやっていました。
 地元の中学へ進み、最初は卓球部も考えたのですが、見学へ行ったら小学校と同じで新鮮味がなく、楽器が好きでしたのでブラスバンド部へ。叔父の影響でフルートをやりたかったのですが、希望者が多かったのと、吹いても音が出なかった。それでサックス、クラリネット、トランペットといろいろやってみて、唯一、音を出せたのがホルン。それが運命の出会いでした(笑)。
 人数が少ない部で先輩もいなかったので、最初はホルンが移調楽器であることも知らずにやみくもに吹いていました。ホルン自体はすごく好きになり、校内の合唱コンクールの伴奏で久しぶりにピアノを弾いたのも大きなきっかけとなり、自分の中で音楽の存在が大きくなってきて。本格的にやろうと思い、音楽高校を目指すことに。中2の冬から冨成裕一先生(読響ホルン奏者/当時)に師事しました。
 中3の5月に京都へ引越し、小山亮(こやまりょう)先生(京響ホルン奏者/当時)に替わりました。京都市立音楽高校(現・京都市立京都堀川音楽高校)へ進学し、森陽子先生(日本センチュリー響)に師事。学校のオケでシベリウス2番を吹いたのがオーケストラ初体験です。
 高2の時、大阪で聴いたサンクトペテルブルク・フィルのチャイコフスキー5番に大感動。ホルンがすごい音量で吹いていて、大きな影響を受けたのをよく覚えています。高3の修学旅行でウィーンへ行き、国立歌劇場で《トゥーランドット》を観たのも衝撃的で、将来は歌劇場のオーケストラに入りたいと思いました。
 東京藝大へ進み、日本音楽コンクールや日本管打楽器コンクールの入賞をきっかけに、少しずつ仕事もいただくようになり、調子に乗って練習もしなくなり、コンディションを崩した時期があります。そんな状況を一度リセットしたくなり、大学卒業後にフランクフルト音大へ留学。音大に籍を置きつつ、デトモルト国立歌劇場の研修生になり、次いでヴィースバーデン・ヘッセン州立歌劇場の契約団員を務めました。例えば《春の祭典》であろうと、リハやゲネプロなしで吹くのが歌劇場オケ奏者の宿命で、それには鍛えられたと思います。
 2009年夏に都響のオーディションを受け、10月に入団。翌年6月にフランクフルト音大の卒業試験を受ける、という忙しい日々でした。
 都響は響きが繊細で、金管は柔らかいサウンドが要求され、音の立ち上がりなどで実は恐ろしく高難度のことをやっています。集中と研鑽の毎日ですが、今後もホルン・セクションをもっと充実させていければと思っています。

(『月刊都響』2014年9月号 取材・文/友部衆樹)

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