【第23回 都響マエストロ・ビジット】 音楽監督 大野和士×都響メンバーが区立小学校で「特別講義」
レポート
「都響マエストロ・ビジット」は、都響の指揮者が都内の小中学校や高校を訪問して開く特別講義。2024年度は9月9日に音楽監督・大野和士と都響メンバーが中野区立武蔵台小学校を訪問、計90分の講義と吹奏楽団の指導を行った。
前半45分は、大野和士が小4~6年生約300人に「指揮者は何をしているのか」を語りかけた。テニスボールを上に投げ、床に落ちる瞬間に手を鳴らすと、全員が揃う。これが指揮の動作の基本。右手で2拍子、3拍子などのリズムを刻み、左手で音の表情を作る。途中から希望する児童15名が前へ出て指揮棒を振り、大野がピアノを弾く場面もあった。
後半45分は、都響メンバーが武蔵台小学校吹奏楽団に参加しての合同セッション(その他の児童は見学)。同団は50年ほどの歴史をもち、創立4年目にTBS「こども音楽コンクール」で文部大臣賞(全国1位)を受賞、今も吹奏楽コンクールで上位入賞を続ける伝統ある課外活動だ。今回は大野和士の指揮で、フィリップ・スパークの《ハンティンドン・セレブレーション》のリハーサルを行った。「このメロディのアタマにはアクセントを付けて」「シ♭からシ♮の動きはとても大事です。もっとハッキリ音を出して」などの指摘で、音楽がどんどん表情豊かになってゆく。児童の間に座った都響メンバーも「このスタッカートはもっと歯切れよく」など実際に吹きながらアドバイスを送っていた。最後に大野から「とても楽しい時間でした。これからも音楽を大切に毎日を送ってください。またいつかお会いしましょう」と挨拶があり、リハーサルを終えた。
テニスボールを手に語る大野和士
指揮法のミニレッスン
都響メンバーの指導
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第23回 都響マエストロ・ビジット
2024年9月9日
中野区立武蔵台小学校 体育館
訪問者/大野和士(音楽監督)、サトーミチヨ(クラリネット)、岡崎耕二(トランペット)、安藤芳広(パーカッション)
参加児童/小学4~6年生 約300人、吹奏楽団 33人
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(取材・文/友部衆樹 写真/©堀田力丸 『月刊都響』2024年11月号より転載)