7月24日都響スペシャル|7月25日定期演奏会Bシリーズ

7月24日都響スペシャル|7月25日定期演奏会Bシリーズ

ギルバート×都響による新たなマーラー。

7月はニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督を務めるアラン・ギルバートが登壇します。
今回はモーツァルトとマーラーの交響曲。
このスペシャル・サイトでは、コンサートの魅力やおもしろさを一つにまとめました。
「次はどのコンサートに行こうかな」と思っている方にぜひご覧いただきたいページです。

指揮者 アラン・ギルバート Alan GILBERT, Conductor

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アラン・ギルバート
Alan GILBERT, Conductor

ニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督。これまでにロイヤル・ストックホルム・フィル首席指揮者(現・桂冠指揮者)、NDR響(北ドイツ放送響)の首席客演指揮者を歴任。ベルリン・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、フィラデルフィア管などへ定期的に客演。今シーズンはミラノ・スカラ座管、ドレスデン国立歌劇場管、ロンドン響へのデビューを果たす。また、ジュリアード音楽院において指揮科とオーケストラ科のディレクターを務める。アメリカ芸術科学アカデミー(14年)、外交政策協会メダル2015年)をそれぞれ受賞。テレビ放映され「スウィーニー・トッド」により、15年のエミー賞優秀音楽監督賞にノミネートされた。

モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183(173dB)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

ギルバート×都響の魅力、曲目紹介、楽員インタビュー/文:小田島 久恵(音楽ライター)

  • ギルバート×都響のマーラーは無限大

    今年1月に5年ぶりの客演を果たし、エネルギッシュなサウンドで
    聴衆に鮮烈な印象を与えたアラン・ギルバートが、早くもこの7月に再登場。

    2016年1月30日都響スペシャルのゲネプロより

    1月のオール・ベートーヴェン・プロと、ギルバート自身の編曲のワーグナーを含む近現代プロは、サウンドのすみずみまで熟考された創意が組み込まれ、都響の生き生きとしたリアクションは、オーケストラと指揮者の格別の相性のよさを感じさせた。今回はモーツァルト『交響曲第25番 ト短調K.183』とマーラー『交響曲第5番 嬰ハ短調』を演奏する。3回目の顔合わせで、都響がレパートリーとして誇るマーラーを取り上げたことには、大きな期待を抱かずにはいられない。ここで「何かが起こる」のは確実だ。
    ギルバートと都響との初共演は2011年に遡る。そのときに演奏されたブラームスの『交響曲第1番』は今でも伝説だ。崇高でドラマ性に溢れ、あの有名な最初の一音からオーディエンスを痺れさせた。09年からニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督を務めるギルバートが都響から引き出した音は、アメリカ的なビッグ・オーケストラのイメージとは趣を異にする、重厚で繊細なハーモニーで、そこにはこの指揮者とオーケストラでしか生起しないユニークな「世界」が存在していた。あれから5年。都響とギルバートの関係はいよいよ本格的な成熟へと向かっている。
  • オーケストラを魅了する才能と人柄

    アラン・’タケシ’・ギルバートは1967年ニューヨーク生まれ。
    父親はアメリカ人で母親は日本人、両親ともヴァイオリン奏者で、アランもヴァイオリンを学び、
    現在も機会があるたび、演奏している

    ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏会を指揮するギルバート

    指揮者としても早くから頭角を表し、1994年にジュネーヴ国際指揮者コンクールで優勝して以来、日本にも頻繁にやってきてサイトウ・キネン・オーケストラやNHK交響楽団などを指揮している。2009年に「アメリカ最古のオーケストラ」であるニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に抜擢されたときは、世界中がニューヨーク生まれの若手指揮者の大抜擢に驚いた。当時の彼を知る人々は「音楽性に確信があり、今も昔も変わりない」ギルバートの姿勢を評価する。オーケストラに対してはフレンドリーで、指揮者自身がプレイヤーとなって共演できる、数少ないタイプだという。共演したメンバーは誰もがその人柄と、音楽に対する探究心に魅了される「オーケストラのパワースポット」のような人物なのだ。
  • 都響とマーラーとニューヨーク・フィル

    都響とマーラーの関係はオーケストラの歴史を紐解いても非常に深く、
    鉄壁のレパートリーであるだけに、「新しい指揮者」がこれに挑むことには大きな注目が集まる。

    2016年1月26日定期演奏会Bシリーズより

    桂冠指揮者エリアフ・インバル氏が「マーラーの交響曲全曲は、長編小説のような世界です」と語り、2年の年月をかけて2度目のツィクルスを完遂させてからまだ間もない。「都響のマーラー」に大きな愛着を感じているオーディエンスもいるかも知れない。一方、アラン・ギルバートにとっても、マーラーは特別なレパートリーだ。マーラーはニューヨーク・フィルハーモニックの常任指揮者であり、オーケストラの質を向上させ礎を築き、その関係は死の年まで続いた。時折バーンスタインを思わせるギルバートの「熱い」マーラーは、彼が「御本家」のマーラー指揮者であることを実感させる。指揮者とオーケストラ、どちらにとっても王道の作曲家であるがゆえに、月並みならぬ化学反応が期待できるのだ。

公演情報

都響スペシャル

2016年7月24日(日)14:00開演(13:20開場) サントリーホール

チケット購入

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当日券情報

当日券 S・A席 計40枚程度を13時より会場にて発売予定。
 予定枚数終了した場合、整理券配布。
 空席が出た場合のみ開演10分前より再販売いたします。

第812回 定期演奏会Bシリーズ

完売いたしました。

2016年7月25日(月)19:00開演(18:20開場) サントリーホール

 当日券 最終調整の結果、S席 15枚程度を18時より会場にて発売予定。
 予定枚数終了した場合、整理券配布。空席が出た場合のみ開演10分前より再販売いたします。

指揮/アラン・ギルバート

モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183(173dB)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

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  • モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183(173dB)

    第1楽章アレグロ・コン・ブリオの急き立てるような動機が余りにポピュラーな曲。モーツァルトの交響曲の殆どは長調で書かれているが、第40番とこの第25番のみが短調で書かれている。1770年頃にドイツで文学を中心に起こった潮流、シュトルム・ウンド・トランク=疾風怒濤(ゲーテやシラーが提唱した、詩や文学における反理性的で主観的な感情表現) に影響を受けて作曲されたといわれる。誰もが知る不朽の名曲だが、これを書いたときモーツァルトはまだ17歳だった。
    オーボエ2、ファゴット2、ホルン4、弦五部の編成。全4楽章、各楽章に比類のない個性があり、すべてが聴きどころのような交響曲だが、神からの啓示のような第1楽章の名旋律は格別。息の長い主題が予測不可能な変化を繰り返し、めまぐるしく疾走を繰り広げていく。第2楽章アンダンテでは変ホ長調に転じ、穏やかなアンサンブルとなる。トリオ部分が管楽器のみで演奏される第3楽章のメヌエットでは典雅なモーツァルト節が溢れ出し、第4楽章アレグロではやや形式ばった古めかしい雰囲気を醸し出しつつ、曲は論理的に完結していく。
  • マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

    マーラー『交響曲第5番 嬰ハ短調』は、マーラー自身の指揮で1904年10月18日にケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団によって初演された。1902年にアルマ・シントラーと結婚したマーラーが、人生の絶頂期に完成した傑作。2~4番までの合唱・独唱付きの交響曲から一転して、オーケストラのみの構成で書かれている。弦楽器のみで演奏される有名な第4楽章『アダージェット』は、若く美しい妻アルマへ捧げられたラブレターに譬えられる名曲で、ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』で映画のライトモティーフとして使われたことで世界的に有名になった。第1楽章『葬送行進曲』ではソロ・トランペットが冒頭から最後まで活躍し、第2楽章では管楽器が華やかなアンサンブルを奏でる。第3楽章は4分の3拍子で舞踊的なスケルツォが展開、第4楽章ではハープと弦楽器による彼岸の世界が描かれる。第5楽章ロンド・フィナーレ・アレグロ・ジョコーソは、アダージェットの余韻を引き継ぎながら弾むような狂騒的な楽想が繰り広げられ、明るい雰囲気の中でシンフォニーは完結する。

首席コントラバス奏者
池松宏

首席トランペット奏者
高橋 敦

楽員インタビュー

都響から新しいサウンドを引き出すアラン・ギルバート

2011年の初共演から5年ぶりに2016年1月の定期演奏会&都響スペシャルに登場したアラン・ギルバート。7月の3回目の共演を前に、20年前からギルバートと複数のオーケストラで共演を重ねてきた首席コントラバス奏者・池松宏と、過去2回都響で共演し、プライベートでもギルバート家と親しい首席トランペット奏者・高橋敦に、再会への期待のコメントを語ってもらった。

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  • 東京芸術劇場コンサートホールの楽屋から

    ――高橋さんは2011年のブラームス『交響曲第1番』から乗られていましたが、都響に初登場したときのマエストロの印象はどのようなものだったのでしょう?

    高橋敦「都響から新しいサウンドを引き出した感じがしました。大きな音も衝撃で音色が鋭くならずに柔らかく充分に響かせて、などの指示がありましたが、彼はそのときに初めてブラームスの1番を振ったそうです。指揮をしているというより、一緒に演奏をしているという感覚がありました。そういう感覚を持てる指揮者は、実はとても少ない。本人にも聞いてみたら、同じように感じていたそうです」

    ――池松さんは、20年前にNHK交響楽団で共演されているとお聞きしました。

    池松宏「20年以上前にヴィルティオーゾ・オーケストラという各オケの首席奏者が集まって弾くオーケストラが初めてです。その後、N響とかサイトウ・キネンなどで一緒しました。マーラー1番では、あの有名なコントラバスのソロを初めて担当したのがそのときだった。アランもマーラーの1番を振るのは初めてだったということで、お互いに忘れられない存在になりましたね。当時はほとんど名前を知られていない指揮者でしたが、既に只者ではない印象でした」

  • 「都響から新しいサウンドを引き出した感じがしました」と語る
    高橋敦

    ――若くても大物感を漂わせていた?

    池松宏「アメリカ人指揮者というイメージをいい意味で裏切られた感じでした。大雑把な言い方をすると、アメリカの音は精神的なヨーロッパに比べて合理的な感じがして、演奏家にも同じ印象を持っていましたが、彼の作る音楽はヨーロッパ側に近いものがありました。今まで指揮者に言われた事もなく僕も考えてなかった音楽の方向性を指し示されて、新しい発見をした記憶があります。彼はアメリカ育ちなのに、あの音色感はどこからくるのか…恐らく本人の中にある感覚なんだと思います」

    高橋敦「ニューヨーク・フィルの音楽監督になる前からヨーロッパでもとても人気の高い指揮者でしたね」

    ――なるほど。アランさんのお母さまは日本の方ですが、日本人らしいところは?

    高橋敦「できるだけ日本語を喋ろうとしています。半分日本人だから、彼の中でも日本のオケを振ることは重要なことだと考えているようです。感覚的にも、わりと細かくて繊細だと思う。音楽もそうだし、性格もそうですね。そしてすごく礼儀正しくて真面目です」

  • 「今まで経験したうちで1、2を争う素晴らしい演奏会でした」と語る
    池松宏

    ――2016年1月のオール・ベートーヴェン・プログラム(序曲『コリオラン』『ピアノ協奏曲第3番』『交響曲第7番』)では好評を博しましたが、リハーサルはどのような感じだったのですか?

    池松宏「非常に濃密でしたね。僕が都響に入って2年目になりますが、今まで経験したうちで1、2を争う素晴らしい演奏会でした。交響曲第7番に関していえば、1楽章の最初から4楽章の最後まで、音楽的に一気に駆け抜ける感じがしました。1、2、3、4楽章とやるのではなく、あっという間に過ぎていくんです。それも20年前と同じだなと思いました」

    高橋敦「指揮者は音を出さないけど、アランはやっぱりプレイヤーなんです」

    池松宏「そうですね。この人はオケマンでもいいだろうと思う。弾いているこっちを見る目で、何を要求しているかわかりますし、反応すると喜ぶ。それが一緒に演奏している感覚にとても近いんです」

    ――都響のマーラーといえば、桂冠指揮者エリアフ・インバル氏との2回のツィクルスを思い出します。今回のギルバート氏とのマーラー5番では、オケにとっても新しいことが起こる予感がするのですが。

    池松宏「実は僕は既に、サイトウ・キネンで5番を一緒にやってるんです。いつものアランだろうなと思います。それもすごくいい演奏だった。アゴーギクが予想以上にあって良い意味で裏切られました」

    高橋敦「今回が都響との3回目の共演なので、彼もより一層色々考えてきていると思います。やはり、一度きりだと出来ることは限られているし、この先も4回、5回と続くならば、さらに関係性が成熟してくる。アランも都響とやるときは『一緒に演奏している感』が嬉しいみたいです」

    池松宏「基本的に熱い人だよね。チラシに「静かな情熱を秘めた…」と書いてあるけど、静かではない(笑)。わりと溢れてくる感じで…汗の量もそうですし、指揮ぶりも熱い」

  • 互いの楽器を交換して撮った貴重な一枚

    ――マーラーの5番といえば「アダージェット」ですが…。

    池松宏「あれは毎回演奏するたびに、自分が俎板の鯉になっているというか、オーディションを受けているような気分になります。4楽章冒頭で『ドレミ』とヴァイオリンが鳴ったあと、コントラバスがピッツィカートをやるんだけど、あれがなかなかうまくいかない(冒頭のヴァイオリンが「ドレミファ」と弾くその「ファ」の時にコントラバスがピッツィカートやるんですが、ファの音の前の「ミ」がテンポが遅くなって伸びるので)。8人が完璧に揃うことがないし、0コンマ001秒でもずれると世界が変わってしまう。みんなが「コントラバスはまだぁ?」と思っているときに、待ち切れなくて先に出ても、また待ちすぎて遅くなっても台無しになるので、常に緊張しています」

    ――確かに、あの冒頭の「ボン!」というコントラバスの音は聴いていても快感です。

    池松宏「僕はあそこにすごく強烈なイメージを抱いていて、おねしょをする夢を想像するんです。夢の中でトイレを探して探してもう耐えられない!というのがヴァイオリンが「ミ」を伸ばしてるところで、トイレが見つかって、これ以上我慢できない限界で用を足せて安心したところがコントラバスのピッツィカート。夢だと気がつく前におねしょした布団が「ほわ~」と暖かくなる感じもぴったりですね。我慢して我慢して先にちびったりしちゃダメなんです(笑)」

    ――アダージェットでは高橋さんはお休みですね。

    高橋敦「いつも気持ちよく聴いています(笑)。1楽章だけでなく、2楽章3楽章も気を張っていなければならないので…マーラーって、ほかの曲でもファースト・トランペットはほぼソロ扱いなんですよ。4楽章は綺麗な曲だし、やっと休めるのでほっとします」

    ――オーケストラにとってもドラマの多い曲なのですね。半年ぶりにアランさんと再会するにあたって、楽しみにしていることはありますか?

    池松宏「サイトウ・キネンでやったときの、例のピッツィカート部分をリベンジすることですね。モーツァルトの25番も楽しみです」

    高橋敦「オーケストラと指揮者の関係性が直接、演奏の良し悪しに結びつくとは限りませんが、都響はアランと良い関係性を築きつつあると思っています。アランはいつもフレンドリーではありますが、音楽に対してはとてもクールな一面もあり、そういった面ではオーケストラとのバランスを保っていると感じます。僕にとっては尊敬する指揮者の一人です。また会えるのが楽しみですね」

  • 首席コントラバス奏者
    池松 宏 IKEMATSU Hiroshi

    1964年ブラジル生まれ。19歳よりコントラバスを始める。桐朋学園大学卒業。NHK交響楽団首席を経て、2006年家族と共にニュージーランド移住しニュージーランド交響楽団首席。2014年帰国し現在東京都交響楽団首席奏者。これまでに6枚のソロ・アルバムをリリース。東京芸術大学准教授、国立音楽大学客員教授。渓流釣りが趣味で2013年ニュージーランド・ナショナル・フライフィッシング・ペア大会優勝。
  • 首席トランペット奏者
    高橋 敦 TAKAHASHI Osamu

    富山県生まれ。洗足学園魚津短期大学を経て、洗足学園大学を卒業。トランペットを津堅直弘、関山幸弘、佛坂咲千生の各氏に師事。第65回日本音楽コンクール・トランペット部門第1位。第13回日本管打楽器コンクール・トランペット部門第1位。これらの功績が認められ、富山県未来財団から「とやま賞」ほかを受賞。1999年、東京都交響楽団の首席奏者に就任し現在に至る。洗足学園音楽大学客員教授、上野学園大学客員教授、東京音楽大学講師。

フォトギャラリー

リハーサル、「7月24日(日)都響スペシャル」「7月25日(月)第812回 定期演奏会Bシリーズ」の公演写真を公開しました(7/27up)