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ニュース一覧 2018.07.25 up

レポート

第7回 楽員国際交流事業レポート(首席ファゴット奏者・岡本正之)

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本番(5月5日)© Singapore Symphony Group/Jack Yam



東京都交響楽団は2009年度より、シンガポール交響楽団との楽員交流事業を実施しております。この事業は、東南アジアのオーケストラとして活躍の場を広げるシンガポール響と互いに演奏家を派遣し、交流を行っているものです。
7回目の実施となった本年度は、都響から首席ファゴット奏者・岡本正之が5月1~6日までシンガポールに滞在しました。シンガポール響からはホルン奏者マーク=アントワーヌ・ロビヤールさんが9月に来日予定です。

響きの美しいホールとパワフルなオーケストラ ―― 岡本正之(首席ファゴット奏者)

 

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2012年に来日したシンガポール響ファゴット奏者
クリストフ・ヴィッヒェルトさん(右)と
© Singapore Symphony Group/Leon Chia

 シンガポールに5月1日から6日まで滞在し、シンガポール交響楽団(SSO)のコンサート(ラン・シュイ指揮/5月5日)に参加して、ムソルグスキー『ホヴァンシチナ』より前奏曲「モスクワ川の夜明け」、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番(独奏/レオニダス・カヴァコス)、チャイコフスキーの交響曲第1番《冬の日の幻想》を演奏しました。
 3日間のリハーサルからゲネプロと本番までを全てSSOの本拠地であるエスプラネードホール(1800席)のステージで行いました。高温多湿の街中にいることを忘れさせるような本当に良い音のするホールで、響きが温かいことに加え、各セクションの音もよく聴こえる。管楽器セクションはスピード感のある息で、でも必要以上に力むことはないので無理のない華やかな響きになります。オーケストラがホールの鳴らし方を熟知している、ホールの空気を味方につけているので音色の変化~音楽の変化も豊か。正直これは羨ましいと思いました。


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本番(5月5日)
© Singapore Symphony Group/Jack Yam

 ラン・シュイさんは1997年からSSOの音楽監督である方。時にオーケストラに喝を入れながらも温厚な人柄で楽員一人一人とのコミュニケーションを大切にしていらっしゃる様子でした。本番でも彼の即興的な揺れにオーケストラは動じることなく、長く良好な関係にあったことを感じました。

 以前この交流事業に参加した都響楽員から、SSOはリハーサル初日から本番に向けて急激にまとまっていくオーケストラだよと聞いていましたが、それはその通りでした。SSOは17ヶ国の楽員で組織されている多国籍オーケストラ。メンバーのメソッドは日本と違い様々なはずですが、ホールとオーケストラの育んできた何か共有する語法や音色感があるように感じます。そのような中に気持ちよく自分を受け入れてくださったのもSSOの懐の深さゆえでしょうか。出身も背景も様々な人間が集まって、自分のやりたいことをどんどん出しながら、全体の音楽のために結集して、ダイナミックでパワフルで気持ちの良い演奏をする。本当に面白くて新鮮な経験でした。

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2009年に来日したシンガポール響
ヴァイオリン奏者カレン・タンさん(右)と

 多民族国家シンガポールを象徴しているSSOで演奏したことで、ふだん自分たちがやっていることを違った視点で見られたことが貴重でしたね。今後もこのような交流事業が継続されることを願っています。ありがとうございました。

岡本正之 出演公演:2018年5月5日
SSO Gala

(談:まとめ/友部衆樹 『月刊都響』2018年7月号より転載)

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