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ニュース一覧 2017.09.21 up

公演情報

【インタビュー】指揮・梅田俊明が語る“変奏曲の愉しみ” ──9/23プロムナードNo.374

9月23日プロムナードコンサートでは、変奏曲の傑作ばかり3作品を演奏する。
指揮を務める梅田俊明が、変奏曲の魅力を語ってくれた。



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 「変奏曲は、たとえるなら懐石料理のようなものかもしれません。素材を生かしながら、それぞれのお皿は小さくても、次々に料理を楽しめる。そして、各々の味わいのなかに1つのテーマ(主題)が隠れているんです」

 都響とは様々な公演で共演し、都響メンバーとの信頼も厚いマエストロ。名変奏曲特集とも言うべき今回の公演を、とても楽しみにしているという。主題がリズムやハーモニーなどを変えて展開していく変奏曲は、変容の過程に光る作曲家のアイディアを知ることで、作品をより深く味わえる。

 「変奏という作曲技法を用いた作品は多くありますが、単独で変奏曲というタイトルのオーケストラ作品は決して多くありません。変奏ごとに小品として完結させなければなりませんし、同じ主題の繰り返しで退屈させないよう作曲家も頭を悩ませたことでしょう。その点、今回の3作品ではいずれも、それぞれの変奏はコンパクトでありながらも豊かな個性が冴えています。変奏曲では次々とキャラクターが変化していくところが、演奏家には難しいところでもあります。変奏ごとに完成度を高め、それを引きずらずに次の変奏に切り替えるというスピード感も必要ですから」

 個性豊かな変奏曲3作品の違いを楽しめるのも、今回のプログラムならでは。

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©K.Miura

 「ブラームス《ハイドンの主題による変奏曲》は、実はハイドンの作ではなく、讃美歌の旋律を引用した聖アントニウスのコラールを主題としています。讃美歌のように普遍的で親しみやすい音楽でありながら、変奏曲としてきわめて美しいフォルムで作曲されています。厳格な構成の中で場面転換や陰影を情感豊かに描いている点で、ブラームスの面目躍如というべき作品です。最後の変奏がパッサカリア(シャコンヌ形式)であることも、温故知新のブラームスらしいですね。
 《ロココ風の主題による変奏曲》では、チャイコフスキーの特徴のひとつである勇壮な面とは対極にある繊細さが支配しています。独奏チェロが人間の内面を吐露するかのように独白するところが魅力的です。多くの協奏曲ではソリストとオーケストラが対峙する場面がありますが、この作品では両者が常に寄り添います」

 エルガーの「創作主題による変奏曲《エニグマ》」はマエストロたっての選曲。都響との共演でぜひ演奏したいと、かねてから考えていた作品だった。

 「《エニグマ》の各変奏には妻や友人のイニシャルが付けられていて、今ではその謎の正体もほぼ明らかになっています。エルガーの身近な人々を描く人間的なぬくもりが、聴く人の想像力をかき立てるでしょう。音楽への愛、友への思いを表現するには、指揮者とオーケストラの親密な対話から音楽が紡ぎ出されることが理想です。都響との長いお付き合いから、エルガーが妻や友人を思うように、僕も都響のメンバーを思い描いて演奏できると考えました」

 《威風堂々》で知られるエルガーだが、《エニグマ》を通じてマエストロの描くエルガー像は、それとは違ったイメージだ。

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 「オルガンも入った編成はゴージャスに見えますが、オーケストラの楽器全てで演奏している場面は実はそれほど多くはありません。厳選された楽器の繊細な組み合わせがチャーミングに人物像を描きます。エルガーの出世作となった作品ですから、エルガー自身を描いたと思われる最後の変奏も、未来に希望と栄光を夢見ているといったイメージです。テーマからして孤独や葛藤を感じさせる部分が多いと思います。この内面に向けた眼差しはブラームスと根底を同じくするものです。今回取り上げる3作品は、視点は違っても表現のスタイルには共通項があるかも知れません」

 変奏曲のシンプルな主題を生かすには、オーケストラにも高い音楽性が求められる。都響は友人のような存在であると語るマエストロも期待を寄せる。

 「変奏曲を生かすには、音色の美しさや音が溶け合った時の響きなど、オーケストラにもクオリティが要求されますが、これらの作品を都響と共演できることはなんと幸せなことでしょう。リハーサルを通して共有できたものに、本番ではさらに自由度を持たせることができたらと願っています」

 友情が紡ぐ変奏の調べに期待は高まるばかり。
2017年9月23日(土・祝)14:00 サントリーホール
プロムナードコンサートNo.374

指揮/梅田俊明
チェロ/ユリア・ハーゲン

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 op.33
エルガー:創作主題による変奏曲《エニグマ》 op.36

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