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オーケストラの素朴な疑問

Q

[今月の疑問]どうして楽器の色はセクションで違うの?

A

前回はオーケストラの団員の服が黒い理由についてお話しましたが、今月はオーケストラで使われている楽器の色に対する疑問にお答えしましょう。

 オーケストラのメンバーがステージに登場したとき、各メンバーが手に持っている楽器に目がいきますよね。服が黒いから楽器の色が一際目立つはずです。そのとき気がつくのは、弦楽器が茶色、木管楽器が黒色、金管楽器が金色、というように、セクションによって色が違うことではないでしょうか? 

 もちろん、この違いは、弦楽器と木管楽器が「木」でできていること、それに対して金管楽器が「金属」でできていることが関係していることは言うまでもありません。でも、この色の違いを詳しく調べていくと、ヨーロッパの文化であるオーケストラの背後にある歴史上の出来事や貿易などが浮かび上がってくるのです。

コントラバス
コントラバス

 まず、弦楽器に目をやりましょう。ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器は、木で作られているから色は茶色ですよね。でも、よく見ると、同じ茶色でも、赤に近いものや黒に近いものなど楽器のよって違うことが分かります。実は、これは木そのものの色の違いではなくて、表面に塗ってあるニスの色の違いなのです。弦楽器に使っているスプルースやメイプルは白っぽい色をした木で、茶色いわけではありません。白い木はすぐに汚れてしまうのでニスが塗ってあるのですが(家具と同じですね)、このニスの調合具合などで音が変わってくると言われています。ちなみに、弦楽器に使われている木材は、もともとはヴァイオリンが製作されているイタリアなどの近くに生育されているものが使われていました。

ファゴット
ファゴット

オーボエ
オーボエ

 木で作られている楽器と言えば、木管楽器も同じですが、弦楽器と同じように茶色いのはファゴットだけですよね。

 ファゴットもやはり白いメイプルで作られていて、表面はニスや塗料で茶色く塗ってあるのです。19世紀の前半までは、オーボエ、クラリネット、フルートもツゲなど白っぽい木で作られていたのですが、植民地との貿易が盛んになると、アフリカ原産の丈夫な黒いグラナディラ材で作られるようになりました。ヴァイオリンの指板も丈夫なインド産の黒檀で作られるようになります。ファゴットだけヨーロッパ産の木で作られ続けたのは、ドイツがほとんど植民地を持っていなかったことと関係があるかもしれませんね。

ホルン
ホルン

 最後に、金管楽器ですが、例外を除いてほとんどの楽器は銅と亜鉛の合金である真鍮で作られています。真鍮は柔らかくて加工するときに管を曲げやすいので、昔から金管楽器に使われてきました。産業革命で真鍮板が大量生産されるようになると、管を曲げなければいけない木管楽器で使う試みがなされ、その結果できたのがサクソフォーンなのです。こうして、楽器の材質が、植民地政策や産業革命の影響で変化しているのは興味深いですよね。

 この連載はこれが最終回になります。1年間ありがとうございました。

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